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2018-01-03

Design Torget 10月

Design Torget  10月
季節のタペストリー

春から夏の陽光あふれる短い季節が終わると、北欧の秋は足早にやってきます。この時期の雨にぬれた木立と、鮮やかな紅葉とのコントラストは息をのむほどに美しく感じられるます。しかし寒さは日ごとに増していきます。
1900年代前半に活躍したスウェーデンを代表する画家カール・ラーションと妻カーリンは、ダーラナ地方の自然と静けさに惹かれ、この地方の四季と家族の日々の生活を大切にしました。その美しいタッチで描かれた水彩画の代表作「Ett Hem (我が家)」は、今もスウェーデンの人々にとって理想の生活空間として受け継がれています。その中に描かれている、彼らの手作りの慎ましくも温かく人を招き入れるインテリアの魅力もさることながら、妻のカーリンがハンドメイドした布からは豊かさが溢れています。
こうした地方の伝統色や季節を写し取り家庭生活の中に加える布は、ヘムスロイドと呼ばれる家庭工芸の中にも多く見られます。当時は織物や刺繍がほとんどでしたが、1944年に開設したJOBS(ルビ ヨッブス)工房をはじめ、シルクスクリーンを使ったハンドプリントも、デザイン手法の一つとして盛んに行われました。ダーラナ地方のシリアン湖に面した静かな村に住む、テキスタイルデザイナーのアンナレーナ・オールソンさんは、ここの自然が一度で気に入り、家族で古い民家を買い、少しずつ改装した居心地の良い家で創作を始めて30年になります。画家でインテリアデザイナーの夫と散歩をしながら描きためたスケッチを、シルクスクリーンに紙型や手描きを加えて、タペストリーに仕立てた作品は、絵画には無いやさしさと柔らかさがあり、直線的な広がりで生活空間を作ります。
スウェーデンの人々の住まいの作り方にも、住む人々の季節感や伝統文化を反映させた、日本と共通する落ち着きと、静けさを感じるデザインが多く受け入れられているように思います。(北欧建築デザイン協会理事・プロダクトデザイナー)

アンナレーナ・オールソン作「秋」は、3連のシルクスクリーンと手描きの染色技法による作品。

初秋の風景を1枚の布に。同じくアンナレーナ・オールソン作「リーフ」。

スウェーデンの若手テキスタイルデザイナー、ウルリカ・エロフソンのハンドプリントのテーブルセンター。タペストリーとして使うのも楽しい。

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