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2018-01-10

Design Torget 3月

Design Torget 3月

テキスタイル

 太陽の光が日本に比べて少なく光に対して敏感な北欧では、空間の重要なエレメントの一つとなるのがテキスタイルです。テキスタイルとは、染や織りを施した布を指します。現代の日本で使われているカーテンのように目隠しや遮光のためというよりも、光が布を透過し、空間を和らげる効果を最大限に生かす工夫や、絵画のように、壁に飾り、デザイン感覚を優先するの使い方は魅力的です。そして、自分らしい生活の中に楽しさを加える模様が多く生まれています。
1920年代から続くJOBS(ヨッブス)は、スウェーデンデザインをリードしたヨッブス姉妹が興したハンドプリントの工房で、今も伝統的な手仕事の味を残しながら80年前の模様をプリントし続けています。ダーラナ地方の自然を模した草花を主に、プリントされた上質な麻や綿は、椅子張りやタペストリーとしても多くの人々の生活の中で使われ続けています。またシルクプリントのメーカーアルメダール社の50年代に発表されたアストリッド・サンペが魚や草花をデザインしたキッチンタオルも、モチーフと色彩の魅力もあって、未だに多くの人々の心を捉えています。200年続く織物メーカーのエーケルンド社も王室御用達の伝統的な織り柄を大切にすると同時に、リビングやキッチンを楽しくさせる、身近な花や動物などを題材にした軽快なデザインと使い勝手の良さから人気を得ています。
テキスタイルデザイナーたちの多くがそのモチーフを、自然を観察する生活の中から、あるいはそれぞれの原風景の中から生みだしています。友人のテキスタルデザイナーのベングト&ロッタ夫妻の絵柄の多くは、幼い頃一緒に遊んだ動物や二人の子どもたちへのまなざしから生まれています。その柔和な人柄をそのままに、ユーモアのある優しいテキスタイルは、北欧の人々の暮らしの中で、インテリアの主役のひとつになっています。(北欧建築デザイン協会理事・プロダクトデザイナー)

(写真)テキスタイルデザイナーのベングト&ロッタによるキッチングローブと鍋つかみ。幼い頃の思い出の動物をモチーフに発表している。スウェーデンのハンドプリントで最も歴史のあるヨッブス社の布。工房からは長年人々に愛されているダーラナ地方の可憐な草花模様が生まれている。

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