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2018-01-12

Design Torget 1月

1年間にわたって月刊誌「婦人の友」にスウェーデンの生活用品について連載しました。
選・文/須長壮太郎 撮影/小林康浩

 

Design Torget 1
ぬくもりのうつわ

ミッドセンチュリーといわれる1950年代は、スウェーデンのデザインが大きく花開いた時期です。第二次世界大戦が終わり、平和を取り戻した北欧でも田園から都市へ多くの人が移り住み、住宅難と生活環境の問題が生じました。そこでスウェーデンでは、いかなる生活道具を選ぶか、家具や家財の機能を含め、国を挙げての徹底した調査が行われ、「良い嗜好とは?美的なものとは?そしてそれらが日常的の歓びに必要なものなのか?」とさまざまな議論がされました。それによって、多くの生活道具がデザインされ、住まいが調和されるものとなり、現在に至るまで暮らしの中の美に高い意識を向ける基となりました。その運動の基点には1930年のストックホルム博覧会、そして1955年の「H55」展などがあり、そこでは「美しさと利便性、実用性」が実際の生活空間の中で展示されました。例えば、スウェーデンを代表する製陶所“グスタフスベリェ”では、戦後の労働力不足から女性の社会参加が始まり、主に女性の仕事だった食事の支度を軽減し、同時にあたたかな食卓を家族で囲むための器具の開発が手がけられました。それは調理をして直接テーブルに出せる耐熱加工を施した陶磁器の鍋をはじめ、家事労働を助けるだけでなく、モダンで機能的で量産可能な食器類のデザインの提案でした。それまでの欧州の一般的な花柄とはひと味違った北欧の自然をモチーフにしたデザインや独特の透明感のある釉薬など、スウェーデンの伝統であるスロイド(手工芸、家庭工芸)のぬくもりを強く感じさせます。1950年代の新しさと懐かしさを合わせもったうつわは、現代の生活者に、なんともあたたかなハートを感じさせるでしょう。

(写真)北欧らしい草花をモチーフにデザインされた50年製の皿類。“グスタフスベリェ”や“ロールストランド”などスウェーデンを代表する製陶所で開発された北欧の伝統的な透明感のある絵付けや、明るい色彩のオーブン皿も50年代ごろのもの。

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